1 行政・司法処分とは(その流れ)
1-2 臨検監督(定期監督)とは?
○労働条件調査
危険・有害業務が行われていない非工業的業種の中小規模事業場については、過去臨検監督の対象に選定されることがほとんどなく、このため労働法制の周知が必ずしも十分浸透しているとは言い難いことから、労働基準法の基本的な枠組みについての周知と必要に応じ、法に則した改善と管理が図られることを目的に実施しているもの。
基本的な枠組み確認事項
・労働条件の明示(労基法15条)
・労働時間、休日、休憩(労基法32,34,35条)
・賃金支払い(労基法24条)
・年次有給休暇(労基法39条)
・就業規則(労基法89条)
・法令等の周知義務(労基法106条)
・健康診断(労働安全衛生規則44条)
(平成24年2月新潟県社会保険労務士会新潟支部研修会における新潟労働基準監督署長の説明会資料からの抜粋)
→労働局・所轄監督署の重点監督・集中監督(臨検)
1-3 行政処分・司法処分とは(その内容主要例)
労働基準法
○6か月以下の懲役または30万円以下の罰金
均等待遇 | 第3条 |
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女性であることを理由とする賃金差別 | 第4条 |
公民権行使の拒否 | 第7条 |
違約金、損害賠償額の予定 | 第16条 |
前借金相殺契約 | 第17条 |
強制貯金 | 第16条 |
解雇制限期間中の解雇 | 第19条 |
★解雇予告 | 第20条 |
ブラックリスト | 第22条第4項 |
★法定労働時間 | 第32条 |
★法定休憩 | 第34条 |
★法定休日 | 第35条 |
有害業務 | 第36条第1項 |
割増賃金 | 第37条 |
★年次有給休暇 | 第39条 |
年少者の深夜業 | 第61条 |
年少者の危険有害業務 | 第62条 |
妊産婦の危険有害業務 | 第64条第3項 |
★産前産後の休業 | 第65条 |
★妊産婦の時間外労働(請求) | 第66条 |
★育児時間 | 第67条 |
未成年者職業訓練の年休 | 第72条 |
災害補償 | 第75条~80条▲78条 |
寄宿舎役員の選任 | 第94条第2項 |
寄宿舎の安全衛生 | 第96条 |
申告労働者に対する不利益対応 | 第104条第2項 |
○30万円以下の罰金
★契約期間 | 第14条 |
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★労働条件明示 | 第15条 |
退職証明 | 第22条 |
★賃金の支払い | 第24条 |
★休業手当 | 第26条 |
★変形労働時間制の労使協定 | 第32条の2~5 |
★時間通算 | 第38条 |
★事業場外労働 | 第38条の2 |
年少、未成年者の労働契約 | 第57条~59条 |
★生理日の就業 | 第68条 |
★就業規則関係 | 第89条~91条 |
労働基準監督官の権限 | 第101条104条の2 |
法令等の周知 | 第106条 |
★法定労働者名簿の作成 | 第107条 |
★法定賃金台帳の作成 | 第108条 |
記録の保存 | ★第109条 |
※この法律違反行為者が従業員であっても利益の最終帰属者たる事業主も責任を負う。(両罰規定・第121条)
最低賃金法
○50万円以下の罰金
★最低賃金以上の支払い | 第4条 |
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労働安全衛生法
○6か月以下の懲役または50万円以下の罰金
病者の就業禁止 | 第68条 |
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健康診断等に関する秘密の保持 | 第104条 |
○50万円以下の罰金
★健康診断 | 第66条第1項 |
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自発的健康診断 | 第66条第2項 |
健康診断の結果の記録 | 第66条第3項 |
★医師からの意見聴取 | 第66条第4項 |
健康診断の結果の通知 | 第66条第6項 |
書類の保存 | 第103条 |
※この法律違反行為者が従業員であっても利益の最終帰属者たる法人及び事業主も罰する。(両罰規定・第122条)
2 法令違反、指導事例と、その予防策(例)
<法令違反、指導事例/順不同>
① 労働条件の書面による明示(労基法15条)
② 就業規則の内容が就業実態に合致していない。改正法に対応していない。(労基法89条)
③ 就業規則や36協定の周知がなされていない。(労基法106条)
④ 法定賃金台帳の調製がなされていない。(労基法108条)
⑤ 定期健康診断の実施(安衛法66条)
⑥ “管理者”を労基法上の“管理監督者”とみなし、割増賃金、法定休憩を与えていなかった。(労基法41条)
⑦ 時間外労働時間数に上限を設けてそれ以上はサービス残業(労基法32条)
⑧ 日々、15分未満の時間外労働時間は、切り捨てていた。
⑨ 実質的強制参加の研修であっても労働時間とせず賃金(または割増賃金)を支払わない。(労基法32、37条)
⑩ 本来、労働時間となる時間で割り直したら最低賃金を下回っていた。(最賃法4条)
⑪ パートタイマーには有休を与えていなかった。(労基法39条)
⑫ 固定残業代(みなし残業代)が監督署から認めてもらえなかった。
⑬ 雇止めでトラブルになった。
⑭ 解雇でトラブルになった。
<予防策>
① 雇い入れ時に労働条件通知書(雇用契約書)をきちんと交付し、読み合わせをして署名をもらい、合意文書を作成しましょう。・・・参考資料2
② 賃金支払いの対象となる算定すべき労働時間をきちんと整理しましょう。
③ “モデル”就業規則や古い就業規則を見直しましょう。(高年齢者雇用安定法の改正など)
④ 絵に描いた餅にならないよう周知しましょう。経営者のために!毎年提出の36協定は特別条項の要非も含めて確認しましょう。
⑤ 賃金台帳(労働者名簿も)の法定記載項目を確認しましょう。
⑥ 大事な従業員さんのために健康に配慮しましょう。(労働安全衛生法、労働契約法)
⑦ 法律上の管理監督者の要件を確認しましょう。
⑧ 法違反ですので是正しましょう。出勤簿+残業管理簿で時間管理をきちんとしましょう。
⑨ 法違反ですので是正しましょう。
⑩ 労働契約内容と勤務表を確認しましょう。
⑪ 賃金支払いの対象となる算定すべき労働時間をきちんと整理しましょう。
⑫ 賃金支払いの対象となる算定すべき労働時間をきちんと整理しましょう。「業務改善助成金」を活用しましょう。
⑬ 年次有給休暇の要件を確認しましょう。正職員も含めて「年休管理簿」で管理しましょう。
⑭ 時間数と時間帯の違いを認識しましょう。
⑮ 賃金規程に○時間分、または○○手当のうち○万円は時間外休日労働分とする。などの規定の明記をしましょう。
⑯ 有期労働契約指針の理解と判例を念頭に置きましょう。
⑰ 就業規則の普通解雇、懲戒解雇事由を見直しましょう。労基法19~21条、労働契約法16,17条を確認しましょう。
3 労働時間と賃金
1.労働時間
□法定労働時間は1日●●時間、週●●時間
□法定労働時間と所定労働時間の違いは?
□労働時間は拘束時間?休憩を除いた時間?
~ 以下、労働時間=賃金支払い対象?? ~
□交代制勤務における引き継ぎ時間
□業務報告書等の作成時間
□社内会議への出席時間
□施設行事等への参加時間
□その準備に係る時間
□後始末の時間
□研修時間
□健康診断の時間
□事業所間または用務先への移動の時間
□事業所から自宅への帰宅に係る時間または自宅から事業所への出社に係る時間
□社内懇親会での参加時間
□始業時刻前の出社時間から始業時刻までの時間
□終業時刻から後処理終了までの時間
□残業時間
2.休憩
□法定の休憩時間は? 食事または休憩中であっても、来客対応や電話対応をしなければならない場合は、休憩時間?それとも??
□休憩時間の分割は可能?
□一斉休憩は必要?
3.休日
□休日とは?(いつ、どのくらい与えなければならない?)
□法定休日と所定休日の違いは?
□休日労働とは?
□振替休日と代休の違いと要件
4.36協定
5.変形労働時間制・・・参考資料3
6.時間外・休日労働と割増賃金
□9時から17時(休憩1時間)までのところ、18時まで残業してもらった場合の割増率は?
□19時まで残業してもらった場合の割増率は?
□23時まで残業してもらった場合の割増率は?
□遅刻して10時に来た従業員が19時まで残業してもらった場合の割増率は?
□所定休日に働いてもらった場合の割増率は?
□法定休日に働いてもらった場合の割増率は?
□残業時間計算の仕方と端数処理について
・毎日の時間外労働は1分単位
・毎月の累計は30基準四捨五入OK
・月給 → 250日×8時間÷12か月=166.666時間(月平均所定労働時間)
150,000円÷166.66(または166)=900円(904円)×1.25=1,125円
(1,130円)
・1時間当たりの賃金額および割増賃金額の円未満の端数は50銭基準四捨五入
・1か月における割増賃金額の総額の円未満の端数も50銭基準四捨五入
・1か月の賃金額(賃金の一部を控除して支払う場合には控除した額)に100円未満
の端数は50円基準四捨五入・・・要、就業規則記載
・1か月の賃金額の1,000円未満の端数は、その端数を翌月の賃金支払い日に繰り越
して支払うことはOK・・・要、就業規則記載
□平均賃金の計算において、賃金の総額を総歴日数で除した金額の銭未満の端数は切り捨てOK、平均賃金を基にした休業手当等の計算は特約がなければ円未満の端数は50銭基準四捨五入
□固定残業代の取り扱いは?
【 引用・参考文献等 】
●厚生労働省各種リーフレット、ホームページ
●労働新聞掲載記事
●竹内社労士事務所「是正勧告対策セミナー」レジュメ掲載様式
以上
平成25年4月現在の法律に基づいてまとめました。