我が国の社会保障の内容
① | 社会保険(医療、年金、介護、労災、雇用) |
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② | 公的扶助(生活保護、災害救助等) |
③ | 公衆衛生(結核予防、伝染病予防、精神衛生対策等) |
④ | 社会福祉(老人福祉、児童福祉、身体障害者福祉、知的障害者福祉等) |
全体像
労災保険とは
① | 労働者 災害 補償 保険(労働者災害補償保険) |
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② | 民法(使用者の無過失責任) |
③ | 労働基準法75条~80条(第8章・災害補償) |
④ | 人が集まって、お金を出し合って、偶然の事故で、給付を受ける=公的保険 |
適用対象事業
① | 労働者を1人でも使用する事業は強制適用 |
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② | 個人経営で5人未満の農林水産業は任意適用事業 |
③ | 国、官公署、船員は適用除外 |
適用労働者
① | パート、アルバイト、日雇い、臨時、嘱託、派遣などの雇用形態、名称にかかわらず、すべて適用 |
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② | 日本の適用事業所で働く外国人にも適用 |
Q:出入国管理法上の在留資格または就労資格のない外国労働者には=?
③ | 同居の親族、法人の役員は原則として労働者ではない。 |
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④ | 委託契約、請負契約による者、派遣労働者は自社の労働者ではない。 |
給付の種類と手続き(業務災害・通勤災害)
給付の種類 | 給付条件、内容 | 手続き |
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療養(補償)給付 | 労災保険指定医療機関等で治療したとき ・治るまで期間の制限なし ・本人負担なし 労災指定以外の病院で治療したとき |
療養補償給付たる療養の給付請求書(様式5号) ・事業主の証明 ・病院経由 療養補償給付たる療養の費用請求書(様式7号) ・事業主、医師の証明 ・領収書、請求書 |
休業(補償)給付 | 業務上又は通勤途上での傷病で療養のため労働不能で賃金を受けないとき ・4日目から1日につき平均賃金の60% ・3日間は60%を災害補償(通災不要) |
休業補償給付支給請求書(様式8号) ・事業主、医師の証明 |
傷病(補償)年金 | 療養開始後1年6ヶ月の時点で治ゆしておらず傷病等級に該当 ・年間313~245日分(1級~3級) |
監督署長が職権で支給決定 =手続き不要 |
障害(補償)給付 | 治ゆしたときに障害が残ったとき ・1級~7級(年金)313~131日 ・8級~14級(一時金)503~56日 |
障害補償給付支給請求書(様式10号) ・事業主、医師の証明 |
遺族(補償)給付 | 死亡したとき ・年間245~153日分(遺族の数等による) ・一時金、前払い一時金制度あり |
遺族補償給付支給請求書(様式12号) ・死亡診断書 ・戸籍(抄本)謄本 |
葬祭料・葬祭給付 | 死亡したとき ・30日分+315,000円または60日分の多いほう ・遺族がいない場合は葬祭を行う者に対して給付 |
葬祭料請求書(様式16号) ・添付書類は遺族給付と共用 |
介護(補償)給付 | 障害(補償)年金、傷病(補償)年金1、2級=要、常時又は随時介護 ・現に介護を受けている ・△身体障害者療護施設、特養ホーム、病院 ・104,970~28,480円 |
介護補償給付支給請求書(様式16号の2の2) |
二次健康診断等給付 | ・直近の健康診断で血圧・血液検査、脳血管及び心臓疾患の検査を行ったこと ・いずれにも異常の所見、症状未発生 |
・二次健康診断、特定保健指導 ・一次健康診断から3ヶ月以内(要予約) ・年度に1回(様式16号の10の2) |
◆ 特別支給金
保険給付とは別に労働福祉事業として支給
毎月の所得補償として休業(補償)給付には給付基礎日額の20%が、障害、遺族、傷病に対して特別一時金が支給のほか、ボーナスの所得補償として障害、遺族、傷病にボーナス特別支給金が支給
保険料
① | 一般企業 |
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賃金総額×業種ごとの労災保険率(55種類)
② | 請負による建設の事業などの「賃金総額を正確に算定することが困難な事業」の賃金総額は |
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・ | 請負金額×労務費率 |
・ | 請負金額=請負代金+注文主から支給された工事用資材、貸与された機械器具等の価額相当額または損料相当額 |
・ | ただし、ボイラーの組み立て又は据付の事業においては、ボイラー本体、ポンプ、パイプ、配線、配管材料、専用工具、保温材などは請負代金に加算せず、また含まれている場合には差し引く |
③ | 継続事業、有期事業のメリット制 |
労災保険の認定
② | 業務災害 |
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・ | 業務遂行性(事業主の支配管理下=労働関係の下での業務中) |
イ 事業主の支配、管理下で業務に従事 | 作業中、作業準備中、後片付け中など |
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ロ 事業主の支配、管理下だが業務に従事してない | 就業中の生理的行為、事業場施設の利用中行為 |
ハ 事業主の支配、管理下を離れているが業務に従事 | 出張中など |
・ | 業務起因性(災害と業務との相当因果関係) |
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イ 事業主の支配、管理下で業務に従事 | 恣意行為、私的行為、天災地変等の関連がなければOK |
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ロ 事業主の支配、管理下だが業務に従事してない | 休憩中の私的行為は事業場施設の欠陥等の関連がなければ× |
ハ 事業主の支配、管理下を離れているが業務に従事 | 恣意行為、私的行為、天災地変等の関連がなければOK |
② | 通勤災害 |
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・ | 労働者が就業に関し、住居と就業の場所との間を、合理的な経路及び方法により往復すること |
・ | 逸脱・中断した場合はそれ以降は“通勤”とはしない。 |
・ | 当該逸脱又は中断が日常生活上必要な行為であって労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、当該逸脱又は中断の間を除き、この限りでない。 |
・ | 日用品の購入、職業訓練、教育訓練、選挙、病院等での診察・治療などは例外として、その後合理的な経路に復した後は通勤と認められる。 |
Q:当社の女子事務員が会社の業務を終わって、会社の近くにある美容院で約1時間半程度パーマをかけてから自宅に戻る途中交通事故で重症を負いました。この事故について労災請求をしたいのですが、通勤災害として認められるでしょうか?
※ 求職者給付には他に「高年齢求職者給付金」「特例一時金」「日雇労働求職者給付金」があります。
最近、社会保険加入を拒む従業員さんが多くの中小企業で見られます。
日本の社会は“自由と権利”が保障されていますが、それは“義務と責任”が前提だと思います。
法律で自由と権利が守られているのですから、法律を守る義務があり、任意で選択できる民間の保険と違い、“公助”の精神で作られ社会全体で支え合う公的保険は日本の社会人としての自己責任だと考えます。
責任あるご対応をお願いいたします。
社会保険加入義務
一定の労働時間、労働日数ともに所属会社のフルタイム正社員の3/4以上の従業員さんは法律に基づいて社会保険に加入させる義務が事業主にはあります。加入手続きとらなければ会社が罰せられ、強制加入、最大2年間に遡って保険料を徴収されます。
<社会保険加入義務の例外事業所>
① | 個人経営の農林水産、旅館、料理店、理美容業 |
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② | 個人経営のその他の事業で従業員が5人未満 |
社会保険(厚生年金保険・健康保険)加入の従業員のメリット
① | 老齢、障害、遺族の各年金が国民年金の年金額よりもずっと多くなります。 |
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② | それなのに国民健康保険より負担が少なくなる場合が多い。(事業主半分負担のため) |
③ | 「傷病手当金」「出産手当金」の制度があります。・・・お仕事中のケガ病気は労災でカバーしてくれますが、これは業務外の私的傷病をカバーしてくれるもので、国民健康保険には無い制度です。 |
④ | 一定の配偶者(妻または夫)の方は保険料の負担なしで将来の国民年金が満額受け取れます。・・・この被扶養者制度は国民年金制度にはありません。 |
⑤ | 配偶者および被扶養者の方は保険料の負担なしで健康保険の給付が受けられます。・・・この被扶養者制度は国民年金制度にはありません。 |
社会保険加入の会社のメリット(それ以前に法的義務ですが…)
① | コンプライアンス(法令順守)による社会的認知と信用 |
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② | 従業員の行政に対する申告申し立ての回避 |
③ | 良質な人材の確保 |
④ | 法人であれば事業主も加入できます |
⑤ | 社会保険事務所の調査による行政指導への回避 |
⑥ | 損害賠償提訴リスクの回避 |